人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日曜の夜の日記

この土曜日、5月31日の札幌の最高気温は気象台によると27.5℃だったらしい。平年差は+8.3℃。休日出勤だった。空気が乾いているこの北海道では、まとわりつくような不快感こそないが、それでも日中は少し、暑苦しさを覚えた。

仕事を終えて地下鉄の駅から地上に出ると、マンションとマンションの間の空に、夕焼けが見えた。深い群青色が広がる空の地平線近くが色濃く焼けている様に、「夏の夕空ってこうやって焼けるもんだよなぁ」と、思った。正確に言えばまだ夏ではないのだが、暑かった日の夕暮れは、空がよく焼けることを、あらためて思い出した。そういう当然のことを、いつからかもわからないが、今日まで忘れ続けていたことを、ただただ思った。それと、今はもう死んでしまった祖父母が住んでいた栃木県で、小さいころのいつかに眺めた夕空も、一瞬だけれど鮮明に胸に浮かんだ。この文章を書いている今はすでに、その時に浮かんだ画像などまったく思い出せないのだが。

金曜日、作家の高橋源一郎がラジオでこう言っていた。講師を務める大学で、学生に「思い出をたくさん作りなさい。自分だけの思い出を」と伝えている、と。思い出が無いと、現実から逃げ込む場所がなくなってしまう。現実から逃げて、少し休んだりできる場所を、持っていなさい、と。

その日に見た夕焼けが、過去の夕焼けを思い出させてくれることに、とても幸福な気持ちになる。人間は、そういう圧倒的な力を持つ世界に囲まれて住んでいるということに気付いて、幸せを感じることが時々がある。その幸せも、またすぐに忘れ、忘れ続けたまま、生きているのだが。日曜日の夜の日記。明日からまた、月曜日。
日曜の夜の日記_c0051748_0123065.jpg

by hayaton9 | 2014-06-02 00:12 | daily scene  

<< フレッシュな面々と泥臭く >>